名盤の話。
最近引っ越した関係でCDを色々と整理してラックにならべてみたところ、とんでもない事実が発覚しました。
それは
名盤を持ってない!!
ということです。
理由は2つあります。
1. 父親が名盤を結構持っていたため、引越した際父親のコレクションを持って来るわけにはいかなかった。
2. データやMDで持っていて何度も聴いたせいでCDを持っているような感覚になっていたが、実際は持っていなかった。
と、まあ箇条書きにするような話でもないんですが、とくに2つ目に関しては、思い当たる人はたくさんいると思います。
引越しと同時に購入した愛しのスピーカーJBLちゃんを100%楽しむためにも、これは改めて名盤を買い直さなきゃいかん!!
ということで、最近は名盤を買いあさってます。お店はもちろんDisk Union!その日の仕事場の近くにユニオンがあるとかなりテンションがあがります。
そして恥ずかしながら、ジャズを聴きはじめて10年にして初めてSonny Rollinsの
Saxophone Colossus
を買いました。こんな超超超名盤を今まで持ってなかったんす。内容なんて歌えるくらい聴きまくってたのに。
しかもSaxophone Colossusのジャケってロリンズのシルエットの黒塗りだと思ったら、実はうっすらグラサンかけたロリンズの顔がみえるんですね!知らなかった!!
やっぱり名盤はちゃんとCDかレコードで持ってなきゃダメっすね。まだまだ買わなきゃいけないのがたくさんあるので頑張って揃えます!
そして、久々にSaxophone Colossus の「St.Thomas」を聴いていたら、昔会ったオッサンの事を思い出しました。
あれはまだ僕が大学生だった頃の話。
僕は池袋の駅構内にあるコンビニでバイトをしていました。
そのコンビニのBGMは有線で流行りのJポップの番組が流れてるんですが、僕の時間帯は社員さんがいないので、勝手にビートルズの番組やらジャズの番組やらを流して楽しんでました。
その日も、普通にジャズの番組に設定して、品出しに精を出していました。 たしか文房具とかを出してたはず。
その日のジャズ番組は名演奏特集だったらしく、ジャズファンなら誰でも知ってるようなMiles Davis
の枯葉や、Bill EvansのMy Foolish Heart やらが流れてました。
(ずいぶん名演奏ばかりだなぁ)と思いながらシャーペンを出していたところ、流れたのが Sonny Rollins のSt.Thomas。
と、その時、1人のオッサンが独り言なのか僕に話しかけているのかビミョーなトーンで、
「お、いいのかけてるじゃねぇか」
と言いました。
僕は
(ああ、いるいる、こういうジャズ好きのオッサン)
と思いながら気付かないふりをしていたところ、案の定オッサンが話しかけてきました。
「にいちゃん、これなんてヤツか知ってるか?」
僕は
(はい、来ました。こういう偉そうなオッサンは大抵若者に教えたがるんだよね。まあでもジャズ好き同士なわけだし仲良くロリンズの話でもしてみよう)
と前向きに考えて、
「ソニーロリンズの St.Thomas ですよね。僕も大好きなんですよ〜」
て言おうとして「ソニー…」と言いかけた時に、オッサンが驚愕の一言を言いました。
「これはな…、ジャズっていうんだよ」(キメ顔)
えーーーーーーー!!
くくりデカッ!!!
「ジャズ」って…。いや、確かにジャズだけどさ…。
そこまで言われるとさすがに、僕もロリンズの話なんかできるわけもなく、
「はあ、そうなんですか…」
と返すのが精一杯。
オッサンも
「今の若いヤツはこういうのを聴かねえんだよな!」
とかなんとか言って気持ち良〜く帰っていきました。
なんかビミョーな気持ちになった記憶があります。でも今思えば、あーゆーオッサンも面白いですね。
という話を先日、友達に笑い話として話していたら、その友達は新たな見解を示してくれました。
「いやもしかしたら、そのオッサンはすごーく深い意味で、これこそがまさにジャズだ、って言ったんじゃないの?」
なぬーーーーーーーー!
つまり、こういうことか!?
「これはな…、
(昨今「ジャズ」という言葉は幅広く使われ過ぎていて、あれもジャズ、これもジャズ、という時代になってしまった。たしかにジャズという音楽は、シャンソンやラテンやボサノバやロックなど、様々な要素を取り入れて進化してきた歴史がある。最近ではヒップホップの要素を取り入れて新たなサウンドを創り出しているジャズミュージシャンも出てきた。そういう新たな可能性を求めて追求していく姿勢やそこから生み出される音楽は素晴らしいし、それを否定するつもりは毛頭ない。ただ、ジャズという音楽があまりにも多様化してしまい、そもそもジャズとはなんなのか、が分かりにくくなっているのも確かだ。音楽をカテゴライズすることに意味があるとは思えないし、今更ジャズの定義について議論することは不毛な事でしかないが、今のこの様な状況で、逆にこれこそは100%ジャズだと言えるのはやはりジャズの歴史を作ってきたジャズジャイアンツ達の演奏だ。そういう意味において、このSonny Rollins の Saxophone Colossus、こういう音楽をまさに100%混じりっ気なしの)
ジャズっていうんだよ」(キメ顔)
すげーーーーー!すげーーーぜ!オッサン! 省略し過ぎだけどまじですげーぜ!!
そりゃキメ顔でも全然いいわ。いや、むしろキメ顔で言うべき事だわ。
あのジャズ好きなオッサンにもう一度会いたくなりました。顔はまったく覚えてないけど。
結局なにが言いたいのかというと、Saxophone Colossus は最高だということです。
最後にサックスの山田拓児さんから教えてもらったロリンズの映像をリンクします。
会場全体を巻き込んで超ハッピーなSt.Thomas!最高っす!こういう演奏をみると本当に音楽の力を感じます。ロリンズまじ尊敬!
http://www.youtube.com/watch?v=q2O2p7Oy5QY&playnext=1&list=PL7E6BD41C46E20274
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